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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻7号

2011年06月発行

文献概要

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あとがき

著者: 瀧川雅浩

所属機関:

ページ範囲:P.548 - P.548

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 日々進化するITですが,私のようなアナログ人間には全く無縁と言ってもいいものです.携帯電話は電話機能を使いこなすのが精一杯,iPad,iPhone,ん~それなに? という有様です.とはいえ,周囲をITで張り巡らされている以上,これと対峙(?)しないわけにはいきません.あふれかえるIとTがあれば,さまざまな予知ができるのでしょうか.たとえば,地震調査研究推進本部は,今後30年以内に震度6弱の地震が起こる確率が高い地域として静岡県,紀伊半島,四国南部などを挙げています.いわゆる東南海地震が起きるとされている場所です.おそらくさまざまなITを利用した結果なんでしょう.でも,素朴な疑問として,今回の東日本大震災の予知ができずに,どうして東南海地震が予知できるのだろうか? 4月14日発行の「Nature」では,東京大学のRobert Geller教授が,「過去30年間,日本で大きな被害を出した地震は,政府の予測とは違った場所で起きている.いつ,どこでどの程度の規模の地震が起きるかなど予測できるはずがない」と指摘しています.私の知り合いで地震研究をしている大学院院生も,かつて,きっぱりと「地震の発生の予知はできません」と言ったのを思い出します.Yale大学に留学していた頃(1977~1979年),主任教授のWaksman先生がよく言っていたことの1つに,「将来のジャーナルの形態として,論文はreviwerなしで,誰でもが投稿できる,そして投稿論文の良し悪しの判断は読者が決める」がありました.電子ジャーナルのPLoSシリーズはそれに近いのでしょうか? また,suppressor T cell factorはおそらくTGF-βだろう,とも言っていました.このようなエピソードはコンピューターならぬ勘ピューターでこれまで蓄積した知識を解析した結果なんでしょうが,今から振り返ってみると,ある意味正鵠を得ているわけです.ITを駆使しなくても,予知はできる? ですから,あふれかえるIとTを適切に使うことが,IT時代を生き延びるTなんでしょう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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