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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻8号

2011年07月発行

症例報告

乳児線維性過誤腫の1例

著者: 寺石美香1 青木奈津子1 北川伸子2 佐野栄紀1

所属機関: 1高知大学医学部皮膚科学講座 2吉本小児科皮膚科

ページ範囲:P.563 - P.566

文献概要

要約 1歳4か月,女児.生後9か月頃,右項部の皮下腫瘤に家人が気付いた.徐々に増大してきたため当科を受診した.初診時,径15mmの表面平滑な硬い皮下腫瘤を触れた.下床との可動性は比較的良好であった.また,腫瘤部に一致した皮表には淡い褐色斑と多毛を認めた.生検病理組織では真皮深層から脂肪織内にかけ,索状の線維性組織,未分化細胞巣と,孤立する成熟脂肪細胞の3成分の増殖を認めた.腫瘍直上の真皮内には,エクリン腺の過形成と扁平上皮化生を認めた.以上より乳児線維性過誤腫と診断した.本症は特徴的な病理組織をもって診断されるが,3成分の構成バランスによっては術前の診断が困難である.その際,表面皮膚の臨床像や腫瘍周辺部の組織学的変化,また,乳児に簡便に行うことのできる皮膚超音波検査が診断に有用と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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