icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻8号

2011年07月発行

症例報告

塩酸チアラミドによる蕁麻疹型薬疹

著者: 小野寺美奈子1 爲政大幾1 井上和加子1 松尾智央1 岡本祐之1

所属機関: 1関西医科大学皮膚科

ページ範囲:P.581 - P.584

文献概要

要約 59歳,男性.青魚の摂食によると思われる蕁麻疹の既往が3回ある.初診2か月前に魚介類系のだしを使用したラーメンを食べ,その4時間後より喉頭部に違和感を生じた.感冒と自己判断し,塩酸チアラミド,トラネキサム酸細粒を服用したところ,約10分後より全身に膨疹が出現した.ステロイド剤の点滴投与にて症状は速やかに軽快した.内服誘発試験で,塩酸チアラミドの内服30分後より全身に膨疹が出現した.トラネキサム酸やアスピリンでは皮疹は誘発されず,塩酸チアラミドによる蕁麻疹型薬疹と診断した.塩酸チアラミドは非ステロイド性・非ピリン系の塩基性抗炎症薬で,酸性消炎薬に比べ蕁麻疹型薬疹の報告は少ない.しかし,使用頻度が低いために薬疹報告例が少ない可能性も否定できない.塩酸チアラミドはアスピリン喘息患者にも使用できる数少ない抗炎症薬の1つで,その安全性を確認することは重要である.

参考文献

1) 榊原博樹:免疫アレルギー 23:25, 2005
2) Inomata N, et al:J Dermatol 34:172, 2007
3) 高永哲也,他:皮病診療 16:578, 1994
4) 山口正雄,他:アレルギー 54:362, 2005
5) 福田英三,編:薬疹情報,第13版,福田皮膚科クリニック,p112, 2009
6) 笹岡健哉,他:西日皮膚 61:767, 1999
7) 竹崎伸一郎,他:皮病診療 8:277, 1986
8) Takashima T, et al:Arzneimittelforschung 22:711, 1972
9) 東 禹彦,他:日皮アレルギー 4:97, 1996
10) 笹岡龍次,他:皮膚臨床 32:1910, 1990
11) 橋本喜夫,飯塚 一:皮膚臨床 39:399, 1997
12) 阿曽亮子,他:日皮アレルギー 7:83, 1999
13) 光戸 勇:日臨皮会誌 64:12, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら