臨床皮膚科65巻8号

2011年07月発行

症例報告

石灰化と広範囲の淡褐色斑を伴った頰部基底細胞癌の1例

著者： 甲斐宜貴¹ 後藤真由子¹ 清水史明¹ 上原幸¹ 片桐一元¹ 藤原作平¹

所属機関： ¹大分大学医学部皮膚科

ページ範囲：P.619 - P.623

文献概要

要約　60歳，男性．15年前より左頰部に褐色斑があり徐々に増大し，左頰部の大部分を占めるようになった．初診時の淡褐色斑の大きさは7×6cm，その中央は隆起性腫瘤を形成していた．褐色斑の境界は比較的明瞭であり，鑑別疾患として悪性黒色腫が考えられた．ダーモスコピー所見では，白色小結節を多数認めたため，基底細胞癌を第一に考えて生検を行った．その結果，石灰化を伴う基底細胞癌と診断した．腫瘍辺縁より1cm離して切除術を施行し，二期的にcheek rotation flapにて再建した．切除標本の病理組織所見では，腫瘤部は表皮と連続性に好塩基性に染まる腫瘍細胞が大小の胞巣を作って下方に増殖し，好塩基性の無構造物質を含有する大小の囊腫様構造を伴っていた．

参考文献

1) 柴田雅彦，他：J Visual Dermatol 6:247, 2007

2) 安齋眞一：臨皮 51:1059, 1997

3) Walsh JS, et al:Dermatol Surg 25:49, 1999

4) 石原和之：Skin Cancer 22:209, 2008

5) Slodkowska EA, et al:Am J Dermatopathol, Epub ahead of print, 2010

6) Madan V, et al:J Plast Reconstr Aesthet Surg 62:e368, 2009

7) Archontaki M, et al:Anticancer Res 29:2655, 2009