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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻9号

2011年08月発行

文献概要

症例報告

痒疹反応を伴って汎発化したDarier病

著者: 加藤恒平1 田中智子1 上田暢彦1 佐藤貴浩1 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院皮膚科学分野

ページ範囲:P.672 - P.676

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要約 79歳,男性.40歳頃より胸部に角化性丘疹が集簇してみられDarier病と診断された.夏季増悪時にのみステロイドを外用し,良好にコントロールされていた.2008年2月,体幹,四肢に掻痒感の強い蕁麻疹様丘疹が播種状に多発した.個疹は長期間持続し痒疹反応と考えた.病理組織像は真皮の浮腫と単核球,好酸球浸潤であり,表皮変化は軽微であった.しかし次第に角化性丘疹からなる局面が主体となり,2回目の組織像はDarier病に合致していた.経過中,胃潰瘍が見つかりHelicobacter pylori除菌を行った.この際,一過性に全身蕁麻疹様丘疹が新生・多発し,除菌終了後は蕁麻疹様丘疹の新生は止んだ.経過からDarier病患者がH. pylori感染に起因する蕁麻疹様丘疹を合併,その際の真皮への炎症性細胞浸潤がケラチノサイトに作用し,ATP2A2遺伝子の発現に影響を与えて,Darier病の汎発化を誘発した可能性を考えた.

参考文献

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9) 谷口章雄,田中 信:臨皮 55:890, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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