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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻9号

2011年08月発行

文献概要

症例報告

紫紅色斑を伴わない多発結節を呈した血管肉腫の1例

著者: 増地裕1 江川尚男1 小林計太2 田原誉敏3

所属機関: 1鳥取市立病院皮膚科 2鳥取市立病院病理診断科 3鳥取大学医学部放射線治療科

ページ範囲:P.690 - P.694

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要約 85歳,女性.初診3か月前から左前頭部に正常皮膚色結節が出現し,徐々に増加し,額まで拡大した.皮膚病理組織像では,真皮に紡錘形から類円形,多角形の異型性の強い腫瘍細胞が密に増生し,辺縁では不規則な血管腔の形成と腫瘍細胞の内腔への突出像がみられ,血管肉腫と診断した.高齢で入院治療や化学療法に消極的であり,短期大量電子線分割照射を通院で施行した.治療後2年間経過し,腫瘍の再発・転移は認めていない.まれな臨床像と充実性・未分化な増殖像を呈する血管肉腫でも,電子線照射単独で長期間寛解を維持しうる例があると考えた.

参考文献

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12) 山本都美,他:日皮会誌 118:23, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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