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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻9号

2011年08月発行

文献概要

症例報告

顔面の手術後瘢痕部に生じたMycobacterium chelonae皮膚感染症の1例

著者: 藤川大基1 田中英一郎1 伊藤雅章1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.695 - P.698

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要約 81歳,女性.左鼻根部の角化性丘疹を近医で切除された.切除標本の病理組織像は日光角化症の所見であり,断端は陰性であった.切除1か月後頃から,瘢痕となった術創部がドーム状に隆起してきた.腫瘤の一部からの皮膚生検病理組織所見は膿瘍であった.その後,腫瘤を全摘して採取組織からの抗酸菌培養を行ったところ,速育菌を検出し,DNA-DNA hybridizationで菌種はMycobacterium chelonaeと同定した.術後レボフロキサシンとクラリスロマイシン内服を行い,再発所見は認めなかった.基礎疾患を有さず,免疫低下状態などがない患者でも,術後瘢痕や外傷部分への本菌による皮膚感染症が生じうることを考慮すべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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