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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻9号

2011年08月発行

文献概要

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書評 ―著者:斎田俊明・土田哲也・古賀弘志―必携ダーモスコピー

著者: 清原隆宏1

所属機関: 1福井大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学領域

ページ範囲:P.734 - P.734

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 今やダーモスコピーは皮膚科診療において欠かせないツールとなっている.保険収載もされており,悪性黒色腫をはじめとする色素性病変の診断に多大に貢献している.今後ますますその重要性は増してくるであろう.ところで,ダーモスコピーを学び始めて困惑するのが,聞き慣れない用語が多いことに加えて,同様の所見が複数の用語で表現されていることである.どの用語を覚えて使用していくべきなのかを判断しなければいけないことは,初心者にとっては非常に厄介である.しかしながら,国際的に通用する必要最小限の用語をマスターすることは重要である.本書において使用されているダーモスコピー用語は,現時点で最も国際的に通用するものであることを前提に,不要な混乱を招かないように配慮されたうえで採用されている.非常に吟味されており,文中の用語はそのまま記憶して構わないし,安心して読み進めていってよい.初心者にとってこのことは多大なストレスの軽減である.著者の3人は言うまでもなく日本のダーモスコピーの分野を牽引している斎田俊明先生,土田哲也先生,古賀弘志先生である.

 本書のもう1つの特徴は,非常にコンパクトなポケット版であるにもかかわらず,ダーモスコピー入門書として必要な基礎知識や診断手法なども網羅されていることである.記載内容は簡潔で理解しやすく,必要な科学的知見が適切に盛り込まれている.初心者が本書を通読することにより,ダーモスコピーの必要最小限の基礎知識,用語,診断手法が効率的に身につくだろう.私がダーモスコピーを勉強し始めた頃に本書があればと,つくづく残念に思うくらいである.初心者にはまず本書でダーモスコピーの骨格を形成してもらいたい.骨格ができると,その後の肉付けは比較的容易になり,ダーモスコピーの面白さがさらに実感できるようになるだろう.多くの先生方に,その後のさらなる飛躍を期待したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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