icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻1号

2012年01月発行

文献概要

原著

コチニール色素による即時型アレルギー患者におけるアレルギー検査の分析およびアレルゲン蛋白質の解析

著者: 山川有子12 大砂博之34 相原道子4 池澤善郎45

所属機関: 1山川皮ふ科 2横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科 3ひろクリニック 4横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科 5国際医療福祉大学附属熱海病院皮膚科

ページ範囲:P.8 - P.13

文献購入ページに移動
要約 コチニール色素は,カイガラムシ科エンジムシの一種であるコチニールの雌を乾燥したものから抽出される食用天然赤色色素である.コチニール色素摂取後,顔面の紅斑腫脹,蕁麻疹,粘膜症状などを呈した即時型アレルギー患者4名の原因アレルゲンを同定するために以下を施行した.皮膚プリックテストは患者4名ともコチニール色素で陽性であったが,コチニール色素から不純蛋白を除去した精製カルミン酸色素では陰性化または減弱化した.血清特異的IgEは患者2名でコチニール色素で高値であったが,精製カルミン酸色素では陰性であった.ウェスタンブロッティング法では,患者3名にコチニール色素に含まれる約39~45kDaの蛋白に対するIgEを認めた.以上から,コチニール色素による即時型アレルギー患者は,コチニール色素に含まれる不純蛋白質に対する抗体を持ち,コチニール色素のアレルゲンは約39~45kDaの蛋白であることが強く示唆された.

参考文献

1) Lloyd AG:Food Chem 5:91, 1980
2) Alas K, Belin L:Acta Allergol 29:238, 1974
3) Burge PS, et al:Clin Allergy 9:185, 1979
4) Dietemann-Molard A, et al:Lancet 338:460, 1991
5) Kägi MK, et al:Lancet 344:60, 1994
6) Kume A, et al:Environ Dermatol 6:148, 1999
7) Baldwin JL, et al:Ann Allergy Asthma Immunol 79:415, 1997
8) Beaudouin E, et al:Ann Allergy Asthma Immunol 74:427, 1995
9) Chung K, et al:Allergy 56:73, 2001
10) Lizaso MT, et al:Ann Allergy Asthma Immunol 84:549, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?