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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻1号

2012年01月発行

文献概要

症例報告

ST合剤(バクタ®)による薬剤性光線過敏症

著者: 中島大毅1 日野亮介1 森智子1 中村元信1 戸倉新樹2

所属機関: 1産業医科大学皮膚科学教室 2浜松医科大学皮膚科

ページ範囲:P.31 - P.34

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要約 82歳,男性.2010年1月より大腸のmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫に対してリツキシマブ単独療法を施行中であった.3月に3クール目(リツキサン®630mg点滴静注)を施行され,また同日よりST合剤(バクタ®)の内服が開始されていたが,その2日後より顔面,頸部,手背に紅斑が出現した.露光部中心に皮疹が出現していたため,光線過敏症を疑い光線照射試験を施行した.最小紅斑量はUVA2J/cm2,UVB40mJ/cm2であり,UVA,UVB両者に対して過敏性が認められた.次に内服していた10種類の薬をすべて中止して3日後の光線照射試験では,最小紅斑量はUVA4J/cm2以上,UVB80mJ/cm2であり,両者とも正常範囲内に回復した.以上より,薬剤性光線過敏症を考え,光貼布試験,内服照射試験を施行した.光貼布試験ではすべての薬剤が陰性であった.内服照射試験では,各薬剤をそれぞれ内服後12時間後にUVA 2J/cm2,4J/cm2を照射して,照射24時間後に判定した.その結果,ST合剤(バクタ®)のみ陽性を示した.以上よりバクタ®による薬剤性光線過敏症と診断した.バクタ®中止後,症状は再燃なく経過観察中である.バクタ®による薬剤性光線過敏症は自験例が本邦で1例目であった.

参考文献

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12) Dass S, et al:Arthritis Rheum 56:2715, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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