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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻1号

2012年01月発行

文献概要

症例報告

血管炎を伴わない顔面肉芽腫の1例

著者: 安岡英美1 綿貫沙織1 山本享子1 田中勝2 陳科榮1

所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科 2東京女子医科大学東医療センター皮膚科

ページ範囲:P.41 - P.44

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要約 42歳,男性.顔面に初診前日より出現した自覚症状を伴わない小豆大から爪甲大までの浸潤を触れる紅斑が散在していた.皮膚病理像では,真皮浅層から中層の血管周囲性に炎症細胞の浸潤がみられ,表皮下にGrenz zoneが認められた.真皮の血管周囲性には,好中球,リンパ球,組織球,および好酸球など多彩な炎症細胞が浸潤し,周囲に核塵を伴っていた.一部の血管壁にフィブリンが沈着していたが,明らかな血管炎を示すフィブリノイド変性や赤血球の血管外漏出像は認められなかった.顔面肉芽腫(granuloma faciale)と診断した.本疾患は血管炎所見を伴うといわれているが,自験例を含め明らかな血管炎を伴わない症例の報告も多く,本疾患を血管炎疾患とするかは疑問が残る.

参考文献

1) 斉藤隆三:最新皮膚科学大系,4巻,中山書店,p141, 2002
2) 市原麻子,他:皮膚臨床 52:1174, 2010
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10) Ortonne N, et al:J Am Acad Dermatol 53:1002, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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