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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻1号

2012年01月発行

症例報告

皮膚悪性腫瘍を疑った肛門部扁平コンジローマの1例

著者: 酒井貴史1 佐藤秀英1 佐藤俊宏1 安井和明2 近藤能行2 卜部省悟2 後藤瑞生3 藤原作平3 山手哲明4

所属機関: 1大分県立病院皮膚科 2大分県立病院臨床検査部 3大分大学医学部皮膚科学講座 4山手皮膚科

ページ範囲:P.85 - P.89

文献概要

要約 43歳,男性.約1年前より肛門部に腫瘤性病変を認めていた.徐々に増大してきたため,2010年3月近医より紹介された.初診時,肛門部4時の方向に26×27mmの腫瘤を認めた.皮膚悪性腫瘍を疑い生検を行ったが,明らかな異型細胞は認められなかった.生検後に処方した抗生剤の内服に伴い腫瘤は著明に縮小,ほぼ消失した.この経過から梅毒を疑い,梅毒血清反応検査を行ったところTPLAおよびRPRの上昇が判明した.抗Treponema pallidum subsp. pallidum抗体による免疫染色では,表皮細胞間に多数のTpを認め,肛門部扁平コンジローマと診断した.本症例は大きな結節性病変を主体とする病変であったこと,表面の湿潤傾向が少なかったこと,経過が1年と長期であったこと,両鼠径部リンパ節腫脹を伴っていたことが,最初に皮膚原発の悪性腫瘍を疑った要因と考えた.

参考文献

1) 大里和久:最新皮膚科学大系,15巻,第1版,中山書店,p210, 2003
2) Dourmishev LA, Dourmishev AL:Clin Dermatol 23:555, 2005
3) Wolff K, et al(eds):Fitzpatrick's Dermatology in General Medicine 7th ed, McGraw-Hill, New York, p1958, 2007
4) 小尾麗子,他:日皮会誌 112:985, 2002
5) 嵯峨兵太,他:臨皮 54:595, 2000
6) 岸本恵美,他:皮膚臨床 46:1667, 2004
7) Hook EW 3rd, Marra CM:N Engl J Med 326:1060, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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