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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻10号

2012年09月発行

文献概要

症例報告

乳癌の放射線治療部位に生じた限局性水疱性類天疱瘡の1例

著者: 松崎ひとみ1 山上淳1 久保亮治1 永尾圭介1 大山学1 海老原全1 天谷雅行1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.757 - P.760

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要約 52歳,女性.左乳癌部分切除術および腋窩リンパ節郭清後に,計25回の放射線照射(総量50Gy)を受けた.照射終了1か月後より,左胸部に水疱が出現し,近医で外用にて加療されたが皮疹が拡大したため,当科を受診した.初診時,左前胸部から側腹部の照射部位に一致して,径2cm大までの緊満性水疱とびらんを伴う境界明瞭な紅斑を認めた.病理組織像は好酸球浸潤を伴う表皮基底層直下の水疱形成であり,蛍光抗体直接法で基底膜部にC3の線状沈着,蛍光抗体間接法で基底膜部にIgGの線状沈着を認めた.BP180 ELISA値は43.9と上昇していた.以上の所見より,放射線照射により誘発された水疱性類天疱瘡と診断した.症状が照射部位に限局していたため,ステロイド軟膏外用のみで経過観察したところ,皮疹は消退し,BP180 ELISA値も14.4まで低下した.放射線照射部に水疱が出現した際には,水疱性類天疱瘡を鑑別疾患として考える必要がある.

参考文献

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11)KasperkiewiczM,etal:Autoimmunity45:55,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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