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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻10号

2012年09月発行

症例報告

尋常性痤瘡治療に用いられたフルオシノロンアセトニドによると考えられた酒皶様皮膚炎の1例

著者: 河相美奈子1 藤澤章弘1 谷岡未樹1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科

ページ範囲:P.761 - P.764

文献概要

要約 43歳,女性.顔面の掻痒性紅斑・丘疹の治療のため前医を受診し,尋常性痤瘡の診断で,ロキシスロマイシン,ミノサイクリン,メキタジン,ビタミンB6の内服(用法,用量不明)およびアダパレンゲル・ナジフロキサシンクリーム・フルオシノロンアセトニド軟膏(配合割合不明)の混合剤の外用を顔面全体に1年以上行った.紅斑・丘疹が増悪したため,当科を紹介され受診した.問診と症状から,ステロイド長期外用による酒皶様皮膚炎と診断し,前医での外用剤を中止した.1%クリンダマイシンゲルを外用し,ロキシスロマイシン300mg/日およびプレドニゾロン10mg/日を内服した.プレドニゾロン内服は漸減し,1か月で中止した.ロキシスロマイシンは胃腸障害のためミノサイクリン100mg/日内服に変更した.酒皶様皮膚炎は次第に軽快したため,ミノサイクリンを漸減し,紅斑・丘疹が消失した治療開始3か月後にクリンダマイシンゲルを中止した.以後,時にかゆみを伴う紅斑を顔面に生じるが,ロラタジン10mg/日内服と0.1%タクロリムス軟膏外用にて数日で軽快している.酒皶様皮膚炎などの副作用が生じうるステロイド外用薬は,尋常性痤瘡治療に一般的に推奨されず,使用する際は,医師の管理下で,限定的に行われるべきである.

参考文献

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9) 谷岡未樹:Derma 170:23, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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