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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻10号

2012年09月発行

症例報告

軟骨肉腫との鑑別にKi-67染色,p53染色が有用であった骨外軟骨腫の1例

著者: 茶谷彩華1 畑康樹1 宇月美和2 下川伶子2

所属機関: 1済生会横浜市東部病院皮膚科 2済生会横浜市東部病院病理科

ページ範囲:P.772 - P.776

文献概要

要約 68歳,女性.3年前より除々に増大する左足底の皮下腫瘤を自覚した.初診時,左足底第2趾MTP関節部に表面の皮膚が肥厚し胼胝様を呈する骨様硬の皮下腫瘍を認めた.組織像では真皮内に骨と連続しない腫瘍塊がみられた.腫瘍は分葉構造を呈する軟骨細胞の増殖により構成され,軟骨細胞間には石灰化,硝子骨化,脂肪髄を伴う成熟骨組織を伴った.一部で細胞成分が豊富で,大型の核を呈し,軟骨肉腫との鑑別を要した.発生部位が四肢末梢であったこと,p53染色,Ki-67染色が陰性であり増殖能が乏しかったことより骨外軟骨腫と診断した.骨外軟骨腫は骨と連続性を持たない軟骨腫瘍であり,比較的まれな腫瘍である.組織学的には核異型を伴うこともあり軟骨肉腫との鑑別を要する場合もある.Ki-67染色,p53染色をともに行ったことで軟骨肉腫との鑑別がより正確に行えたと考えられ,これらは有用な染色法であると思われた.

参考文献

1) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,13巻,中山書店,p128, 2003
2) 松村忠紀,他:病理と臨床 27:126, 2009
3) Campanacci M:Bone and Soft Tissue Tumors, 2nd ed, Springer, New York, p1181, 1999
4) Oliveira AM, et al:Mod Pathol 13:900, 2000
5) Nakashima N, et al:Cancer 57:2444, 1986
6) Weinstein LJ, et al:Iowa Orthop J 16:39, 1996
7) Levine AG:Cell 88:323, 1997
8) 関口美穂,他:福島医学雑誌 49:85, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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