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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻10号

2012年09月発行

文献概要

症例報告

部分的限局性Recklinghausen病および限局性多発性神経線維腫の各1例

著者: 坪田真紀1 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.777 - P.782

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要約 症例1:28歳,男性.出生時より腹・背部に褐色斑が帯状に散在し,5歳頃から左胸に小型の常色結節が出現し,側彎症も伴っていた.症例2:54歳,男性.40歳頃から,項・胸部,上肢に大小の常色結節が出現した.いずれも家族内に同様の症状および神経線維腫症はない.病理組織学的に,2症例の結節は神経線維腫であった.以上より,症例1を部分的限局性Recklinghausen病,症例2を限局性多発性神経線維腫と診断した.症例1は幼少期発症であるのに対して,症例2は中年発症であり,症例1では側彎症を伴ったが,症例2では神経線維腫症の症状は伴わないという相違点がみられた.また,過去の遺伝子学的な検索において限局性多発神経線維腫の症例でNF-1遺伝子に異常を認めなかったとの報告がある.これらのことより,限局性多発神経線維腫は,神経線維腫症からは切り離した独立疾患として扱うべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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