icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻10号

2012年09月発行

症例報告

両下肢に色素斑,紫斑を呈し,慢性色素性紫斑を疑ったCD8陽性皮膚T細胞リンパ腫の1例

著者: 猿田祐輔1 宇野裕和1 中田土起丈1 秋山正基1 飯島正文1 塩沢英輔2 矢持淑子2

所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学教室 2昭和大学医学部第2病理学教室

ページ範囲:P.801 - P.805

文献概要

要約 63歳,男性.約7年前に両下肢,右前腕に皮疹が出現し,徐々に増数してきた.初診時,両下肢,右前腕に比較的境界明瞭な手拳大程度の紫褐色ないし灰褐色の色素斑が多発散在していた.リンパ節腫脹はなかった.慢性色素性紫斑を疑い生検した.病理組織学的に表皮基底層に明るい胞体を有する異型腫瘍細胞の浸潤がみられた.腫瘍細胞はCD3,CD4,CD8,TIA-1,グランザイムBで,T細胞受容体γ鎖遺伝子再構成を解析しモノクローナルな増殖を認めたため,CD8陽性T細胞リンパ腫と診断した.1年間のNB-UVB療法後,現在,皮疹は色素沈着主体となり,一部では消退傾向も認め,経過観察中である.WHO分類における位置付けを確認し,自験例はCD8陽性T細胞リンパ腫と診断した.

参考文献

1) 八木宏明,戸倉新樹:血液・腫瘍科 42:28, 2001
2) Swerdlow SH, et al:WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, International Agency for Research on Cancer, Lyon, p298, 2008
3) 黒川滋子,他:皮膚科紀要 91:67, 1996
4) 杉田和成,他:西日皮膚 70:490, 2008
5) 岸本恵美,他:臨皮 59:680, 2005
6) 杉山都子,他:日皮会誌 102:1763, 1992
7) 橋本 健:皮の科 8:741, 2009
8) 八木宏明:新・皮膚悪性リンパ腫アトラス,文光堂,p76, 2006
9) Dummer R, et al:Arch Dermatol 138:199, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら