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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻10号

2012年09月発行

症例報告

Helicobacter cinaediによる再発性蜂窩織炎の1例

著者: 林郁伶1 若林正一郎1 中野倫代1 末廣敬祐1 神戸直智1 松江弘之1 若林華恵2 渡邊正治3 依田清江4

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学 2千葉大学医学研究院腎臓内科 3千葉大学医学部附属病院検査部 4千葉県衛生研究所細菌研究室

ページ範囲:P.807 - P.811

文献概要

要約 59歳,男性.プレドニン20mgを内服中であった.2009年12月下旬,左下肢蜂窩織炎による敗血症にて入院し,血液培養にて螺旋菌陽性であり,後にHelicobacter cinaediと同定された.イミペネム1g/日およびクリンダマインシン1,200mg/日の点滴にて速やかに改善したが,約1か月半後,蜂窩織炎を再発した.入院後はセファゾリン3g/日およびクリンダマイシン1,200mg/日点滴加療にて速やかに改善し退院したが,その2週間後,右下腿蜂窩織炎の診断で再入院した.抗生剤の反応は良好であり,点滴開始後3日ほどで発赤や疼痛は改善し,約1週間後には白血球数,CRPは正常範囲に回復した.しかし,現在まで蜂窩織炎を計5回再発している.皮膚科領域からの報告はいまだ認められないが,H. cinaediは免疫不全状態の患者に再発性の蜂窩織炎を起こす菌として近年注目されており,再発性の蜂窩織炎を起こす症例では本菌も念頭に置く必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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