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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻10号

2012年09月発行

症例報告

フタトゲチマダニの幼虫および若虫による多発刺咬症の2例

著者: 木村亜矢子1 米山啓1 岸宏久2 小豆畑康児2 角坂照貴3 高野愛4 川端寛樹4

所属機関: 1成田赤十字病院皮膚科 2成田赤十字病院病理部 3愛知医科大学寄生虫学講座 4国立感染症研究所細菌第一部第四室

ページ範囲:P.817 - P.821

文献概要

要約 症例1:1歳,男児.千葉県在住.庭で飼い犬と遊んだ後,体に多数の虫が付着していることに母親が気付き,当科を紹介受診した.マダニ幼虫刺咬症と考えた.容易に脱落し,咬着力は強くないように見えたため,摂子にて摘除した.虫体はフタトゲチマダニ幼虫,若虫と同定された.症例2:67歳,男性.千葉県在住.草むらに入った際に,粉が降りかかるように下肢に複数の虫体が付着し次第にかゆみが出現した.かゆみが増強したため約1週間後当科を紹介受診した.虫体はすべて脱落後であったが,持参した虫体よりフタトゲチマダニ幼虫と同定された.これらの症例より,フタトゲチマダニは口下片が短い上に幼虫,若虫では咬着力が弱いため,幼児例や多数刺咬例など,局所麻酔下での皮膚切除が困難であり,かつ刺咬後短時間であれば,刺咬力の弱い幼虫を摂子で摘除してみる価値はあると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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