icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻11号

2012年10月発行

文献概要

症例報告

VII型コラーゲン自己抗体陽性であった狭義の水疱性エリテマトーデスの1例

著者: 藤原明子1 盛山吉弘1 戸田孝之2 古賀浩嗣3 橋本隆3

所属機関: 1土浦協同病院皮膚科 2土浦協同病院腎臓内科 3久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.846 - P.851

文献購入ページに移動
要約 46歳,男性.6年前に光線過敏,蝶型紅斑,関節炎があり,腎障害WHO分類VB型で全身性エリテマトーデスと診断され,プレドニゾロン(PSL)30mg/日内服加療を開始された.ここ数年間PSL 11~15mg/日で病勢は落ち着いていた.2009年8月,強い掻痒感を伴う爪甲大までの紅斑が顔面を除く全身に多発,一部水疱化したため紹介され受診した.病理組織は表皮下水疱であり,水疱内および真皮上層に好中球主体の炎症細胞が多数浸潤,蛍光抗体直接法は基底膜にIgG,IgA,IgM,C3が線状沈着し,間接法では真皮側にIgG,IgAが沈着,免疫ブロット法で抗VII型コラーゲン抗体陽性であった.以上から狭義の水疱性エリテマトーデスと診断した.PSLを20mg/日へ増量,ステロイド外用も併用したが水疱新生が続き,DDS 75mg/日を追加投与したところ翌日より掻痒感と水疱新生は止み著効した.DDS 25mg隔日投与まで漸減したが再発はない.抗VII型コラーゲン抗体陽性の症例は検索する限り6例目で,非常に稀な症例と考えた.

参考文献

1) Gammon WR, et al:Management of Blistering Diseases, Chapman and Hall, London, p263, 1990
2) Camisa C, et al:J Am Acad Dermatol 9:924, 1983
3) 鈴木正之,他:皮膚臨床 37:1339, 1995
4) Fujii K, et al:Br J Dermatol 139:302, 1998
5) 久保田恭子,他:皮膚診療 23:37, 2001
6) Fujimoto W, et al:J Dermatol 32:1021, 2005
7) 山本洋美,他:臨皮 59:34, 2005
8) 米元康蔵,他:臨皮 42:319, 1988
9) 新井 達,他:J Visual Dermatol 5:814, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?