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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻11号

2012年10月発行

症例報告

発疹性黄色腫の1例

著者: 深谷早希1 石川武子1 大西誉光1 渡辺晋一1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.861 - P.864

文献概要

要約 50歳,男性.父親の兄弟に高脂血症があり,本人も30歳台より高脂血症を指摘されていた.3か月前に自覚症状のない小丘疹が右肘頭部と手に出現し増数した.現症では,粟粒大から半米粒大までの黄色から紅色の小丘疹が右肘頭部に集簇し,同様の皮疹が手にも散在していた.総コレステロール410mg/dl,トリグリセリド3,430mg/dlと著明な高脂血症を認めた.病理組織像では真皮浅層の血管周囲にリンパ球,組織球が主体の炎症細胞浸潤を認めた.泡沫細胞も少数混在し,細胞質中の脂肪滴の表面蛋白であるアディポフィリンに対する抗体で陽性に染色された.薬物療法は行わず食事療法のみで皮疹は消失した.発疹性黄色腫は高トリグリセリド血症に伴う重要なデルマドロームである.また,病理組織所見で泡沫細胞は少なく,抗アディポフィリン抗体による染色が診断の一助となる.

参考文献

1) 松尾聿朗:皮膚臨床 39:1829, 1997
2) 小玉 肇:現代皮膚科学大系,19/B,中山書店,p3, 1981
3) Ostler DA, et al:Mod Pathol 23:567, 2010
4) 細見尚子,他:臨皮 57:1201, 2003
5) 柏木孝之,他:皮膚臨床 40:197, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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