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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻11号

2012年10月発行

症例報告

母斑性基底細胞癌症候群の1例

著者: 崎山とも1 平井郁子1 笠井弘子1 木花光1

所属機関: 1済生会横浜市南部病院皮膚科

ページ範囲:P.891 - P.894

文献概要

要約 39歳,男性.先天性水頭症の既往があった.2年前より左側頭部に黒色斑が出現した.増大し,出血も伴うようになったため受診した.初診時左側頭部に,径3cm,高さ1cmの表面の大部分はびらんし,辺縁は部分的に黒色調の広基有茎性腫瘤を認めた.病理組織像は基底細胞癌であった.他にも頭部,顔面に基底細胞癌が多発していた.掌蹠に小陥凹,顎骨囊腫,二分肋骨,大脳鎌の石灰化などを認めたため,母斑性基底細胞癌症候群(nevoid basal cell carcinoma syndrome:NBCCS)と診断した.家族に同症状はなかった.特にNBCCSで基底細胞癌が巨大化しやすいとはいわれていないが,自験例では発育が早いと推測された.自験例のように巨大化することを防ぐためには,早期の診断と治療が重要である.若年者のNBCCS患者の診断の契機となる受診理由は,多発性顎骨囊腫が多い.多発性顎骨囊腫を有する患者に基底細胞癌を認めた場合には,掌蹠小陥凹,奇形に留意する必要がある.

参考文献

1) Gorlin RJ, Goltz RW:N Engl J Med 262:908, 1960
2) Evans DG, et al:J Med Genet 30:460, 1993
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5) 加藤文美香,他:皮膚診療 23:1091, 2001
6) 山中直樹,他:西日皮膚 59:370, 1997
7) 大田玲奈,他:皮膚診療 31:325, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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