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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻11号

2012年10月発行

文献概要

症例報告

指状嵌入細胞肉腫(interdigitating dendritic cell sarcoma)の1例

著者: 辻奈苗1 山際秋沙1 谷口芳記1 三井泰2 奈良佳治3

所属機関: 1市立四日市病院皮膚科 2市立四日市病院耳鼻科 3市立四日市病院病理部

ページ範囲:P.899 - P.903

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要約 33歳,男性.2009年7月頃より,頸部の有痛性リンパ節腫脹,発熱があった.抗生剤を投与したが改善せず,徐々にリンパ節は鶏卵大に増大した.顔面には痂皮を付着した赤色丘疹が多数出現したため,2009年8月当科を初診した.両頰部,前額部にかけて,一部痂皮を伴う紅色丘疹と,左頰骨の腫脹,および両下顎にクルミ大のリンパ節腫大を認めた.CT上,両側耳下腺内に2cmまでの腫大した複数のリンパ節と,両側内深頸領域,下顎部,鎖骨窩にも腫大したリンパ節が散在していた.血液検査では,白血球数の上昇と軽度の肝機能障害があった.また,可溶性IL-2レセプターも959U/mlと上昇していた.頰部丘疹より皮膚生検した.病理は真皮を主体として,明るく,ややくびれのある核を有する組織球様細胞と,非特異的なリンパ球浸潤を認め,免疫組織検査にて,組織球様の細胞はS100,CD68(KP-1)を発現し,CD1a,leukocyte common antigen,HBM45は陰性であった.組織像,免疫組織検査の結果からは指状嵌入細胞肉腫と診断した.指状嵌入細胞肉腫は稀な疾患であるが,皮膚症状が主訴となる可能性も念頭に置き,診断を進める必要がある.本症例においては,皮膚生検が診断に有用であった.

参考文献

1) 前田邦彦,山川光徳:病理と臨床 21:184, 2003
2) 渋谷雅常,他:日消外会誌 43:857, 2010
3) 前田邦彦,他:血液・腫瘍科 49 (Suppl. 4):223, 2004
4) Lee JC, et al:Am J Dermatopathol 31:88, 2009
5) Maeda K, et al:J Clin Exp Hematopathol 45:37, 2005
6) 宮城 敬,他:癌と化学療法 34:469, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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