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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻11号

2012年10月発行

文献概要

症例報告

下肢の暗紫紅色結節により判明した骨髄異形成症候群の1例

著者: 今泉牧子1 北見由季1 秋山正基1 飯島正文1 松田功2 矢持淑子3 仲田佳子4

所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科 2昭和大学医学部血液内科 3昭和大学医学部第二病理 4仲田クリニック

ページ範囲:P.913 - P.917

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要約 96歳,女性.初診の1か月半前より両下肢に紅斑,紫紅色斑が出現し,増数したため当科を紹介され受診した.初診時,両下肢に小豆大までの軽度隆起した暗紫紅色結節と紫斑が多発散在していた.血液検査所見では白血球2,100/μl,赤血球271×104/μl,血小板12.6×104/μl,芽球3%,巨核球0.5/100白血球,Auer小体の出現を認めた.結節の病理組織学的所見では,真皮上層から一部皮下組織までにほぼびまん性に細胞が浸潤していた.浸潤細胞はN/C比の高い,類円形の核をもつ小型細胞で,核に異型,くびれ,分裂像も散見された.末梢血所見と骨髄所見より骨髄異形成症候群(RAEB-2)と診断され,皮疹は特異疹と考えた.骨髄異形成症候群に特異疹をきたすことは少ないが,出現時は白血病化や予後不良を示唆する可能性が高い.そのため皮膚生検を施行し,病理組織学的検討を行うことが,予後,治療方針の決定の助けとなりうるであろう.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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