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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻12号

2012年11月発行

文献概要

症例報告

マイコプラズマ感染の関与が考えられた皮膚型結節性多発動脈炎―当教室症例の検討

著者: 牛込悠紀子1 水川良子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.955 - P.959

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要約 20歳,女性.咳嗽出現の約2か月後に両下腿に皮疹が出現し当科を受診した.血液検査所見と病理組織所見より,皮膚型結節性多発動脈炎(cutaneous polyarteritis nodosa:CPN)と診断した.下肢安静のみにて第50病日に軽快した.初診時のマイコプラズマ抗体IgMは陽性,PA 160倍,CF 32倍と上昇していた.あわせて,その後の抗体価の有意な変動より,マイコプラズマ感染が誘因となったCPNと考えられた.マイコプラズマによるCPNの臨床的特徴を明らかにするために,当教室のCPN症例をマイコプラズマIgM陽性群と陰性群に分けて比較検討した.陽性群は若年発症で夏季に発症しやすく,比較的軽症であった.陽性群のうち,感冒症状が先行した症例は1例のみであった.マイコプラズマ感染はCPNの誘因となりうるが,感冒症状に乏しく見逃されている可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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