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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻12号

2012年11月発行

文献概要

症例報告

眼底綿花様白斑を合併した全身性エリテマトーデスの1例―眼合併症と疾患活動性との関連性に関する検討

著者: 杉生真帆1 青山裕美1 梶田藍1 竹島千夏1 濱田利久1 松尾俊彦2 赤塚俊文3 岩月啓氏1

所属機関: 1岡山大学医学部皮膚科 2岡山大学医学部眼科 3パートナーズ・クリニック伊島眼科

ページ範囲:P.960 - P.964

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要約 24歳,女性.両頬の蝶形紅斑と抗核抗体陽性により精査加療目的で当院を受診した.他臓器病変は認めなかった.全身性エリテマトーデス(systemic lupns erythematosus:SLE)と診断しステロイド治療を開始した.順調にテーパリングを行っていたが,治療開始から4か月後に突然眼のかすみと視力低下を自覚し,眼底に綿花様白斑を認めSLE網膜症と診断された.このとき,皮膚症状は改善し血液データの変動もなかった.SLEのさまざまな眼合併症は,通常はSLEの病勢と一致して出現するが,過去9年間の当院のSLE患者の眼合併症の検討では,必ずしも皮膚症状や血液検査データにおけるSLEの病勢とは一致していなかった.SLEの眼合併症を皮疹や臨床検査値などから予測することは困難だが,放置していれば重篤な視力障害につながる危険が高く,注意すべき合併症である.

参考文献

1) 塚原 勇,他:新臨床眼科全書,8B,網膜疾患,金原出版,p176, 1983
2) 西野耕司,他:臨眼 61:172, 2007
3) Au A, O'Day J:Clin Experiment Ophthalmol 32:87, 2004
4) Sivaraj RR, et al:Rheumatology 46:1757, 2007
5) 松田弘道,他:神経眼科 25:365, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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