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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻12号

2012年11月発行

症例報告

モルモットから感染したArthroderma benhamiaeによる体部白癬の姉妹例

著者: 小林博人1 竹田公信2 安澤数史23 望月隆23 石崎宏3

所属機関: 1皮膚科小林医院 2金沢医科大学皮膚科学講座 3金沢医科大学総合医学研究所皮膚真菌学研究部門(ノバルティスファーマ)

ページ範囲:P.993 - P.998

文献概要

要約 症例1:27歳,女性.5年前からモルモットを飼育している.初診半年前に新たにモルモットを1匹購入した.そのモルモットに脱毛病巣が出現した.初診の3週前,左前腕に紅斑が生じて受診,ステロイド薬を外用していたところ,20日後の再診時には皮疹が拡大しており,直接鏡検で真菌陽性であったため,体部白癬と診断した.抗真菌薬の8週間の外用で治癒したが,2か月後,左上肢に紅斑の新生があり,抗真菌薬の内服を行った.症例2:25歳,女性(症例1の妹).姉の受診の10か月後,右下顎と右下腿に落屑性紅斑を認めた.直接鏡検陽性で体部白癬と診断し,抗真菌薬の8週間の外用で治癒.症例1,2,モルモットから分離された菌は交配試験でArthroderma benhamiae Americano-Euro-pean race(-)株と同定した.ITS領域のPCR-RFLP法でもA. benhamiae Americano-European raceのタイプ株と同一のパターンを示した.本菌の家族内発生は時期を隔てて生じ,症例1の治療時に動物の治療が行われていれば症例2の発症は防げたかもしれない.

参考文献

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9) 筋野和代,他:皮膚臨床 54:664, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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