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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻12号

2012年11月発行

文献概要

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文献紹介 IVIgはCD22を介してBCRシグナルを調整し,ヒトB細胞のアポトーシスを誘導する

著者: 種本紗枝1

所属機関: 1慶應義塾大学

ページ範囲:P.968 - P.968

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 IVIgは川崎病,ギランバレー症候群,特発性血小板減少性紫斑病などの治療に使われているが,作用機序については詳細がわかっていない.B細胞にはB細胞レセプター(B-cell receptor:BCR)からのシグナルを制御するレセプター(例:CD22)が存在している.この論文ではヒトB細胞を用いてIVIgがBCRシグナルとB細胞アポトーシスにどのように関与しているかを検証している.

 まず,リンパ腫細胞株,末梢血中B細胞,扁桃腺B細胞に,IVIgを加えて培養したところ,IVIgが濃度および時間依存的にB細胞のアポトーシスを引き起こすことが示唆された.さらに,IVIgをFITCで,CD22をTRITCで標識しB細胞上での局在を調べた実験では,B細胞上のCD22とIVIgの局在が一致しており,特にシアル酸修飾型のIgG syalated IVIg(IVIg SA+)が,CD22に作用してB細胞のアポトーシスを誘導していることが示唆された.また,B細胞を抗IgM抗体でコートされたビーズで活性化させ,IVIgと培養すると,BCRシグナル経路上の分子であるSHP-1の発現が誘導された.SHP-1はBCRからの活性化シグナル伝達分子であり,IVIgがCD22を介してSHP-1を誘導する機序が解明された.さらに,本論文ではIVIgが細胞周期(特にG1期)に関係するp38,ERK1,p27,caspase3/9のリン酸化を引き起こし,結果,B細胞のアポトーシスを誘導することが示されている.

参考文献

Séïté JF, et al:IVIg modulates BCR signaling through CD22 and promotes apoptosis in mature human B lymphocytes. Blood 116:1698-1704, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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