icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻13号

2012年12月発行

文献概要

症例報告

開口障害を呈した側頭動脈炎の1例

著者: 菅野恭子1 坂井博之1 飯塚一2

所属機関: 1市立旭川病院皮膚科 2旭川医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.1038 - P.1042

文献購入ページに移動
要約 70歳,女性.微熱,激しい頭痛,顎関節の疼痛および開口障害が出現し当院を受診した.耳鼻科,脳神経外科,歯科口腔外科を受診したが診断に至らず当科を紹介された.両側頭動脈の腫脹から側頭動脈炎が疑われ,病理組織学的に動脈壁内に肉芽腫性血管炎の像を認めた.アメリカリウマチ学会の診断基準5項目すべてを満たし,側頭動脈炎と診断し,プレドニゾロン40mg/日の内服を開始した.内服後,自覚症状は軽快し,約2週間後に開口障害も改善した.側頭動脈炎の約半数で顎跛行がみられるが,開口障害にまで至ることは稀である.開口障害をきたした症例は,調べえた限り本邦では自験例を含め15例で,そのうち視力障害をきたしたのは3例であった.開口障害や視力障害は血管炎が進行した所見と考えられるため早期診断,早期治療が重要である.

参考文献

1) Horton BT, et al:Mayo Clin Proc 7:700, 1932
2) 厚生省特定疾患・悪性リウマチ・結節性鉱脈周囲炎研究班1973年報告書:臨皮 28:8, 1974
3) Hunder GG, et al:Arthritis Rheum 33;1122, 1990
4) 北村奈緒,他:皮膚臨床 52:45, 2010
5) 澤田詩織,他:皮膚臨床 52:12, 2010
6) 柴田章貴,他:皮膚臨床 51:51, 2009
7) Shigeto K, et al:Arthritis Rheum 49:594, 2003
8) Nir-Paz R, et al:Ann Rheum Dis 61:832, 2002
9) 前川清明,他:内科 66:3, 1990
10) 田村政昭,他:臨皮 52:4, 1998
11) 成田博実,他:皮膚病診療 25:1, 2003
12) 村岡 渡,他:日本口腔外科学会雑誌 50:10, 2004
13) 矢嶋幸弘,他:栃木県歯科医学会誌 56:2004
14) 小林康隆,他:アレルギーの臨床 25:14, 2005
15) 賀来敬仁,他:佐世保紀要 33:2007
16) 斉藤真由子,他:日内会誌 96:10, 2007
17) Kawaguchi Y, et al:J Anesth 24:2010
18) 下村弘幸,他:日口診誌 23:2, 2010
19) Kadotani Y, et al:Breast Cancer 17:3, 2010
20) 山田 稔,他:松江市立病院医学雑誌 14:1, 2010
21) 山本毅士,他:大労医誌 33:2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?