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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻13号

2012年12月発行

文献概要

症例報告

うっ滞性皮膚炎より発生した巨大基底細胞癌の1例

著者: 馬場裕子1 加茂真理子1 白樫祐介1 藤本篤嗣1 杉浦丹1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科

ページ範囲:P.1069 - P.1073

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要約 92歳,男性.初診の4年前より両下腿にうっ滞性皮膚炎があり,潰瘍化してきたため当科を受診した.外用剤と弾性ストッキングの着用で加療していたが,初診より3年半後に左下腿外側の潰瘍局面内に径20×30mm大の隆起性腫瘤が出現した.生検病理組織像で真皮内に一部表皮と連続して腫瘍細胞の胞巣状増殖を認め,基底細胞癌と診断した.潰瘍の辺縁より10mm離し筋膜を含め拡大切除し,現在まで再発,転移はない.下腿潰瘍上に悪性腫瘍が発生することは比較的稀で,しかも,そのほとんどが有棘細胞癌である.下腿潰瘍上に基底細胞癌が発生した症例は本邦初であり,海外でも100例に満たない.潰瘍上に発生した腫瘍は,発見が遅れやすく,腫瘤形成はなくても,適切な治療にもかかわらず治癒が遅延する,潰瘍が拡大する場合には,悪性腫瘍の発生も念頭に置くべきである.

参考文献

1) Combemale P, et al:Eur J Dermatol 21:935, 2007
2) Harris B, et al:J Dermatol Surg Oncol 19:150, 1993
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7) Erfurt-Berge C, et al:J Wound Care 20:396, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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