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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻13号

2012年12月発行

文献概要

症例報告

被膜を有する腫瘤を呈したCOL1A1-PDGFB癒合遺伝子陽性隆起性皮膚線維肉腫の1例

著者: 野村和加奈1 本間大1 林圭1 金田和宏1 大石泰史1 上原治朗1 山本明美1 飯塚一1 八田尚人2

所属機関: 1旭川医科大学皮膚科学教室 2富山県立中央病院皮膚科

ページ範囲:P.1079 - P.1084

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要約 41歳,男性.10年間で徐々に増大した左背部の皮内腫瘤を主訴に当科を紹介され受診した.80×60mmの下床との可動性良好な表面に毛細血管拡張を伴う境界明瞭な腫瘤を認めた.全摘した腫瘍は被膜様構造を有し,周囲組織との境界は肉眼的には明瞭であった.病理組織像では軽度核異型を示すCD34陽性の紡錘形細胞が増殖しており,一部被膜外へも浸潤していた.COL1A1-PDGFB癒合遺伝子も検出され,隆起性皮膚線維肉腫と診断した.追加切除標本では皮下脂肪織へのCD34陽性の腫瘍細胞の浸潤を認めた.被膜様構造を有する隆起性皮膚線維肉腫の本邦報告例は自験例を含めて3例のみであり,被膜外への浸潤を認めたものは本症例のみである.境界明瞭な症例においても切除マージンの設定には十分な注意が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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