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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻13号

2012年12月発行

文献概要

症例報告

Solitary congenital self-healing reticulohistiocytosisの1例

著者: 中村善雄1 布袋祐子1

所属機関: 1荻窪病院皮膚科

ページ範囲:P.1085 - P.1089

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要約 生後2か月,男児.生後まもなく左側頭部に皮疹が出現し,徐々に増大した.初診時,中心部に壊死,潰瘍を伴い扁平に隆起した径1.5cmの紅色結節を認めた.全身状態は良好で検査所見に異常は認めなかった.病理組織像では,腎臓形,コーヒー豆様の核を持つ大型の腫瘍細胞の浸潤を認め,免疫染色ではS100蛋白,CD1a陽性であり,Langerhans細胞由来の細胞と考えられた.無治療にて初診1か月後より腫瘍は縮小傾向を認め,約2か月で瘢痕を残し完全に消退した.現在までの約2年間で皮疹の再燃や新生もなく,単発型のcongenital self-healing reticulohistiocytosis(CSHR)と診断した.CSHRは他のLangerhans cell histiocytosis(LCH)との鑑別が問題となるが,病理組織像,免疫組織化学的所見の違いは明らかでない.LCHは腫瘍の数や浸潤臓器により予後に一定の傾向があり,なかでも単発型で皮膚に限局したLCHは他臓器に浸潤した例や死亡例もなく,非常に予後の良いLCHの1グループと考えることができる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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