icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻13号

2012年12月発行

文献概要

症例報告

右大腿部壊死性筋膜炎を発症した劇症型A群溶連菌感染症の1例

著者: 紀平麻帆1 石川理穂1 吉村真理子2 風戸孝夫2

所属機関: 1岐阜県立多治見病院皮膚科 2岐阜県立多治見病院形成外科

ページ範囲:P.1099 - P.1102

文献購入ページに移動
要約 67歳,男性.関節リウマチの既往あり,トシリズマブにて治療中.初診2日前より右大腿部腫脹を自覚し改善ないため当院を受診した.受診後数時間で患部が暗紫色に壊死し,壊死性筋膜炎の診断で緊急入院した.デブリードマンを施行した.DICおよび敗血症性ショックを併発し,病変部と血液培養よりA群溶連菌を認めた.ペニシリンG大量投与とクリンダマイシンの2剤併用療法と連日創部処置を施行.全身状態安定後,分層植皮術を二度施行した.術後経過は良好で,患肢を温存できた.患者の救命においては,早期診断と感受性のある抗生剤の投与,迅速なデブリードマンなどの早期治療が非常に重要であると考える.なお,本症例では初診時にトシリズマブ投与中のためCRPが上昇しにくいということへの注意が欠けており,そのために壊死性筋膜炎の発見・診断に遅れが生じた.生物学的製剤使用の患者では症状や検査所見などのわずかな変化にも注意が必要であり,健常人に比べより慎重な判断を要する.

参考文献

1) Stevens DL:Emerg Infect Dis 1:69, 1995
2) 大国寿士,他:日本臨床 59:80 2001
3) 多田譲治:最新皮膚科学大系,14巻,中山書店,p106, 2003
4) The Working Group on Severe Streptococcal Infections:JAMA 269:390, 1993
5) 清水可方,他:感染症誌 72:258, 1998
6) 山本哲久,他:AMJ 36:49 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?