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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻2号

2012年02月発行

文献概要

症例報告

変形性関節症の膝付近に多発した皮膚限局性ムチン沈着症の1例

著者: 西村(平井)千尋1 五味博子1 石井健1 早川和人1 山崎一人2 石田康生2

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科 2帝京大学ちば総合医療センター病理部

ページ範囲:P.115 - P.119

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要約 79歳,女性.数年前より両側変形性膝関節症に対し,近医で両膝にヒアルロン酸の関節腔内投与を受けていた.最終投与2か月後より左膝蓋に皮疹が出現した.初診時小豆大までの表面平滑な紅色丘疹が多発しており,粘性の黄色・透明な内容液の排出をみた.皮膚生検組織像では,表皮直下に境界明瞭な病変を認め,内部にはヒアルロン酸と考えられる淡青色の無構造物質が沈着するほか,線維芽細胞様細胞,膠原線維を認めた.以上より皮膚限局性ムチン沈着症(cutaneous focal mucinosis:CFM)の多発例と診断した.皮疹は一時的に増大・融合したが約1年間の経過で消退し,その後,再発はない.関節上にCFMを生じた報告の多くは関節リウマチ患者であり,変形性膝関節症の関節上にCFMが生じた既報告はない.自験例では変形性膝関節症に基づく滑膜,滑膜包の炎症や注射という機械的刺激の繰り返しが発症要因として推測された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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