icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻2号

2012年02月発行

文献概要

症例報告

Atypical fibrous histiocytomaの1例

著者: 宮永美紀1 清原隆宏1 澤井孝宏1 今村好章2 熊切正信1

所属機関: 1福井大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学領域 2福井大学医学部附属病院病理部

ページ範囲:P.158 - P.160

文献購入ページに移動
要約 61歳,男性.初診の約1年前から右前腕屈側部に腫瘤が出現した.大きさ1.5×1.3cmのドーム状の常色腫瘤で,病理組織像では肥厚した表皮下にgrenz zoneがあり,真皮全層にレンズ形の腫瘍塊を認めた.腫瘍塊は主に紡錘形細胞から構成され,膠原線維を伴って緩やかな花筵状を呈していた.そのほか,組織球様細胞,黄色腫様細胞,奇怪な核を有する大型異型細胞や多核巨細胞などのmonster cellが散在,核分裂像も認める.血管の増生,へモジデリンの沈着もみられた.免疫組織化学染色ではビメンチン・αSMA・HHF35陽性,CD68一部陽性,factor XIIIa・CD34・デスミン・S100蛋白陰性であった.Atypical fibrous histiocytomaと診断した.悪性腫瘍を思わせるような病理組織像ではあるが,過剰な治療をしないことが重要である.

参考文献

1) Fukamizu H, et al:J Cutan Pathol 10:327, 1983
2) Kaddu S, et al:Am J Surg Pathol 26:35, 2002
3) Calonje E:Rook's Textbook of Dermatology, 8th ed, Wiley-Blackwell, West Sussex, 56.16, 2010
4) Heenan PJ:Lever's Histopathology of the Skin. 9th ed, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, p981, 2005
5) Beham A, Fletcher CD:Histopathology 17:167, 1990
6) Tamada S, Ackerman AB:Am J Dermatopathol 9:380, 1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?