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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻2号

2012年02月発行

文献概要

症例報告

高齢者の眼瞼に生じた皮膚限局型クリプトコッカス症

著者: 池田佳寿子1 濱田利久1 岩月啓氏1

所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.161 - P.165

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要約 81歳,女性.2週間前より,右下眼瞼に結節性病変が出現.徐々に増大し,その外側にも結節が出現したため受診した.初診時,右下眼瞼に自覚症状を伴わない弾性硬の皮下腫瘤を認めた.臨床像からスポロトリコーシスを鑑別に皮膚生検を施行した.組織像からクリプトコッカス症を考え,イトラコナゾール100mg/日内服開始したがわずかな縮小を認めるのみであったため,内服開始から3週間後に150mgに増量したところ,結節の縮小・消退を認めた.真菌学的検査の結果,Cryptococcus neoformans variety grubiと同定した.皮膚クリプトコッカス症は臨床像が多彩であり診断が困難なことが多く,さらに自験例のように基礎疾患を有さず明らかな免疫低下状態にない患者にも発症することがあるため,本症を鑑別疾患の1つとして常に念頭に置いておく必要があると思われた.

参考文献

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7) 山口英世:病原真菌と真菌症,南山堂,p104,1999
8) 並川健二郎,他:西日皮膚 66:157,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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