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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻3号

2012年03月発行

今月の症例

早期の大量γグロブリン静注療法(IVIG療法)により中等量ステロイド投与併用でコントロールしえた尋常性天疱瘡の2例

著者: 奥野愛香1 谷崎英昭1 江川形平1 谷岡未樹1 椛島健治1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚科

ページ範囲:P.192 - P.198

文献概要

要約 症例1:55歳,女性.初診の約1年前より口腔内潰瘍が出現した.近医にて加療したが,増悪,寛解を繰り返していた.2010年3月当科を紹介され受診した.口腔内症状のさらなる悪化を認め,同年4月当科に入院した.症例2:67歳,女性.初診の約1年前から頭皮に3cm大のびらんがあった.2010年4月頃より外陰部にびらん,嗄声が出現した.食事摂取不良によって体重減少も認めていたため,同年6月当院を紹介され受診し,緊急入院した.両症例とも,中等量のステロイド投与(プレドニゾロン20mg/日)を開始し,早期より大量γグロブリン静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIG療法)も併用した.IVIG療法後,速やかに口腔内潰瘍の改善を認め,食事摂取も可能となった.早期のIVIG療法の併用によって,中等量のステロイド内服にてコントロールでき,副作用の軽減,入院期間の短縮につながった.早期からのIVIG併用療法は今後の尋常性天疱瘡治療の助けとなると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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