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症例報告
特発性腰ヘルニアの1例
著者: 遠藤幸紀1 赤坂俊英1
所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.199 - P.202
文献購入ページに移動要約 86歳,男性.初診時,右腰背部に8×6cmの表面常色,弾性軟の疼痛を伴う皮下腫瘤がみられた.皮下腫瘤は容易に徒手還納が可能であった.MRIにて右腎周囲の脂肪組織によるヘルニアであることを確認した.外科的修復を考慮したが,その矢先に腰椎圧迫骨折を発症し,腰椎コルセットを着用したところ,ヘルニア内容の脱出はなくなり,疼痛も消失した.腰ヘルニアの治療は外科的修復が原則で,最近では人工材料を用いたtension-free修復術が好成績をあげている.しかし,自験例は車椅子上かベッド上での生活であり,疼痛の訴えもなく,ヘルニア内容も脂肪組織であり,手術を施行せず保存的に経過を観察した.高齢化が進む現在,同様の特発性腰ヘルニアは増加するものと推測される.
参考文献
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