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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻3号

2012年03月発行

文献概要

症例報告

肺胞出血とループス腎炎を合併した全身性エリテマトーデスの1例

著者: 加藤恵子1 菅原京子1 小寺雅也1 豊田徳子1 指尾豊和2 臼田俊和1

所属機関: 1社会保険中京病院皮膚科 2社会保険中京病院呼吸器科

ページ範囲:P.217 - P.222

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要約 23歳,男性.初診3か月前より,微熱,倦怠感,日光により増強する頰部紅斑などを自覚した.精査にて,全身性エリテマトーデスとSjögren症候群の合併と診断した.この時点で,内臓合併症は認めず,安静により軽快し,投薬は行わず経過観察を続けたが,退院8か月後に,左胸部痛,咳,喀痰,呼吸困難感を自覚し再受診した.胸部CTで左下肺野の限局性浸潤影を認めた.市中肺炎が疑われ抗生剤治療をしたが反応に乏しく,血痰,貧血,補体価の低下,初診時と比較して抗ds-DNA抗体の上昇を認め,全身性エリテマトーデスに合併した肺胞出血と診断した.同時に全身の浮腫,蛋白尿が出現し,腎生検によりループス腎炎Ⅴ型と診断した.ステロイドパルス療法を行い,肺胞出血,ループス腎炎ともに軽快した.全身性エリテマトーデスに合併した肺胞出血は,予後不良であることが知られている.今回,臨床経過より早期に診断し,治療しえたことが救命につながったと考えられる.

参考文献

1) Chang MY, et al:Ren Fail 24:791, 2002
2) Zamora MR, et al: Medicine(Baltimore) 76:192, 1997
3) Lee JG, et al:Clin Nephrol 54:282, 2000
4) Specks U:Curr Opin Rheumatol 13:12, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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