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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻3号

2012年03月発行

文献概要

症例報告

皮膚Rosai-Dorfman病の長期観察経験

著者: 平澤祐輔1 宿谷涼子1 池田志斈1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.223 - P.227

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要約 50歳,女性.鼻尖部と左頰部に自覚症状のない多発性紅色丘疹が出現した.左頰部からの皮膚生検で,表皮から真皮にかけてリンパ球・形質細胞が主体の炎症細胞浸潤があり,組織球が正常リンパ球を取り込んでいるemperipolesisの所見がみられた.組織球は免疫組織学的所見でS100蛋白陽性,CD68陽性,CD1a陰性であり,Rosai-Dorfman病(Rosai-Dorfman disease:RDD)と診断した.病変は顔面の皮膚のみにとどまり,全身症状や表在リンパ節腫脹などはみられず皮膚RDDと診断した.皮疹が急速に拡大したためベタメタゾン2mg/日を内服開始したところ皮疹の拡大は停止した.患者の自己判断で内服を中止した.約半年後より皮疹は消退しはじめ,皮疹出現から約3年5か月後,皮疹はわずかな色素沈着を残してほぼ完全に消失した.皮膚RDDの本邦報告例11例を検討したところ,数か月以内で自然消退することが多く1年以上の経過は少なかった.

参考文献

1) Rosai J, Dorfman RF:Arch Pathol 87:63, 1969
2) Levine PH, et al:J Infect Dis 166:291, 1992
3) Scheel MM, et al:J Am Acad Dermatol 37:643, 1997
4) Brenn T, et al:Am J Dermatopathol 24:385, 2002
5) Foucar E, et al:Semin Diagn Pathol 7:19, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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