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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻3号

2012年03月発行

文献概要

症例報告

Exophiala jeanselmeiによる黒色菌糸症の1例

著者: 木村摩耶1 宮本亨1 村瀬智子2 亀井克彦3 矢口貴志3 青山裕美4

所属機関: 1津山中央病院皮膚科 2津山中央病院臨床検査部 3千葉大学真菌医学研究センター 4岡山大学病院皮膚科

ページ範囲:P.253 - P.257

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要約 86歳,男性.23年間関節リウマチにて加療され,8年前よりリウマチ性多発筋痛症の診断にてプレドニゾロン内服治療を開始し10mg/日で内服継続中である.約2か月前より右手背に腫瘤を生じ徐々に多発してきたため当科を受診した.右手背に母指頭大から鳩卵大のやや柔らかい膿瘍が多発しており,一部排膿していた.MRI所見にて骨破壊像を認めた.皮膚病理組織像ではPAS染色にて囊腫壁内にさまざまな形の淡褐色の菌糸と酵母様細胞を認め,硬壁細胞(sclerotic cell)や顆粒はみられなかった.以上より黒色菌糸症(phaeohyphomycosis)と診断した.また培養形態と塩基配列から本菌をExophiala jeanselmeiと同定した.骨破壊像があり外科的治療で根治が難しいと判断し手術を行わず排膿とイトラコナゾール内服を開始した.一時結節の新生を認めたため温熱療法を併用し病変の縮小を認めた.比較的まれな黒色菌糸症を経験したので報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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