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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻3号

2012年03月発行

文献概要

症例報告

発症から診断確定まで6年間を要したNocardia brasiliensisによる原発性皮膚ノカルジア症の1例

著者: 小嶌綾子1 松村由美1 荒川明子1 加藤真弓1 是枝哲1 大楠清文2 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚科学教室 2岐阜大学大学院医学系研究科再生分子統御学講座病原体制御学分野

ページ範囲:P.258 - P.262

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要約 20歳台,女性.基礎疾患はない.初診の6年前にバイクで転倒し右外果に擦過傷を生じた.いったん治癒したが,受傷の半年後より右足関節部に腫脹,右外果に排膿を伴う発赤が出現した.数か所の総合病院にて診断が得られないまま塩酸ミノサイクリンを含む多種の抗菌薬の投与やデブリドマンを施行されたが改善しなかったため当院を受診した.病理組織像では真皮深部にびまん性に好中球が浸潤し,一部に糸状菌の菌塊を認めた.生検組織片を抗生剤無添加Sabouraudブドウ糖寒天斜面培地にて培養したところコロニーの形成を認め,16S rRNA遺伝子の解析に基づきNocardia brasiliensisと同定した.薬剤感受性検査にて感受性のあったST合剤の内服および携帯使い捨てカイロを用いる局所温熱療法にて加療したところ,1年後に瘢痕治癒した.培養にて培地や培養期間に配慮したことから今回診断に至ったと考えた.

参考文献

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8) 小林衣子,高島 巌:臨皮 45:6, 1991
9) 窪田正昭,他:皮膚臨床 41:1353, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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