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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻3号

2012年03月発行

文献概要

症例報告

B細胞リンパ腫に対する化学療法施行後の白血球数の回復に一致して発症した帯状疱疹の1例

著者: 堀江千穂1 成田陽子1 平原和久1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.269 - P.272

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要約 51歳,女性.1991年に発症したB細胞リンパ腫に対し,当院血液内科にて化学療法を施行した.以降寛解状態にあったが,2008年に再燃し12月上旬よりサルベージ療法としてESHAP療法が追加された.12月下旬に白血球数が300/μlまで低下したためG-CSFが投与され,約5週間後には5,500/μlまで回復した.しかし,それに一致して右下肢に疼痛を伴う皮疹が出現し,1月下旬当科を紹介された.初診時,右下肢に疼痛を伴う小水疱が集簇しており,帯状疱疹と診断し,入院のうえ,アシクロビル(ACV)の投与を開始した.しかし膿疱が多発し症状は遷延化した.そのため,ACVの投与期間を10日間に延長した.自験例は白血球の減少時期ではなく,その回復時期に一致して帯状疱疹を発症しており,AIDS患者に生じる免疫再構築症候群に一致した病態の関与が考えられた.免疫再構築症候群としての帯状疱疹は,従来信じられたほど軽症型のみではないと考えられた.

参考文献

1) 松岡 明,他:癌の臨床 37:1079, 1991
2) Shelburne SA, et al:AIDS 19:399, 2005
3) Shiohara T, et al:Allergol Int 59:333, 2010
4) 渡辺 拓,他:臨皮 61:537, 2007
5) 早川 順,他:Visual Dermatology 7:629, 2008
6) 赤城久美子:日皮会誌 117:1715, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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