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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻4号

2012年04月発行

文献概要

今月の症例

リンパ管細静脈吻合術後に急速に増悪したStewart-Treves症候群の1例

著者: 若林正一郎1 末廣敬祐1 米山恭子1 秋田文1 中野倫代1 鎌田憲明1 神戸直智1 松江弘之1 秋田新介2

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学 2千葉大学大学院医学研究院形成外科学

ページ範囲:P.290 - P.294

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要約 87歳,男性.15年前に右上肢の皮膚T細胞リンパ腫に対して放射線療法を行った既往があり,照射部位に一致したリンパ浮腫を認めていた.2010年7月,同部にリンパ漏出を認めるようになったため,当院形成外科でリンパ管細静脈吻合術を施行したが,術後より急速にリンパ漏出は増加し,暗紫紅色調の浸潤局面と多数の紫紅色結節が出現した.皮膚生検組織像から血管肉腫と診断した.循環動態が保てなくなったことから右肩関節離断術を施行した.術後補助療法としてweekly-docetaxel療法を開始し,現在も外来で継続中である.Stewart-Treves症候群は手術による増悪例が報告されており,自験例でもリンパ管細静脈吻合術による脈管操作を契機に急速に増悪した.

参考文献

1) Stewart FW, Treves N:Cancer 1:64, 1948
2) 山中新也,他:Skin Cancer 20:323, 2005
3) 武藤文之介,他:皮膚病診療 32:65, 2010
4) 田尻美保,他:西日皮膚 62:620, 2000
5) 佐藤寛子,他:皮膚臨床 50:183, 2008
6) Arbiser JL, et al:Am J Pathol 156:1469, 2000
7) Thamm DH, et al:Res Vet Sci 81:76, 2006
8) 増澤幹夫,他:皮膚病診療 32:476, 2010
9) 増澤幹夫:日皮会誌 120:2594, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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