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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻4号

2012年04月発行

文献概要

症例報告

Basedow病に合併した好中球性皮膚症の1例

著者: 伊藤瞳子1 三橋真理子1 川名愛1 稲冨徹1 照井正1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.299 - P.303

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要約 39歳,女性.Basedow病に対しチアマゾール内服中,感冒症状に引き続いて,四肢,臀部に血痂を付す浸潤性紅斑と口腔内潰瘍が多数出現した.病理組織では真皮中層に稠密な好中球浸潤を認めた.Sweet病を考えたが,臨床像が典型でなく,好中球性皮膚症と診断した.ペニシリンG投与とチアマゾール中止,Basedow病コントロールのためのヨウ化カリウム内服にて,一度皮疹は軽快したが,その後チアマゾール再開により皮疹が再燃した.抗甲状腺薬をプロピルチオウラシルに変更後も皮疹の再燃と軽快がみられた.皮疹の出没と甲状腺機能に相関はなかった.自験例では,内服薬,Basedow病の病勢にかかわらず,好中球数の増加に伴って皮疹が繰り返し出現しており,感染症や顆粒球減少を契機とした内因性G-CSFによる好中球増加が発症誘因として示唆された.

参考文献

1) Caughman W, et al:J Am Acad Dermatol 9:751, 1983
2) 菊池 智:Monthly Book Derma 38:52, 2000
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5) 長坂 武,他:皮膚臨床 42:1057, 2000
6) 石川高康,他:臨皮 49:344, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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