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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻4号

2012年04月発行

文献概要

症例報告

Trichophyton rubrumによるケルスス禿瘡の1例

著者: 加来信子1 佐藤真美1 近藤摂子1 棚村一彦2

所属機関: 1洛和会音羽病院皮膚科 2洛和会音羽病院臨床検査部

ページ範囲:P.357 - P.361

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要約 1歳5か月,男児.初診の1週間前より右側頭部に紅色隆起性病変を生じた.近医で抗生剤内服にて治療されたが軽快しないため,当科を受診した.初診時,右側頭部に20×20mm大の脱毛を伴うドーム状隆起性腫瘤で,表面には鱗屑痂皮を伴い,毛包一致性の膿疱を認めた.病理組織学的所見では,毛包周囲に多数の好中球,好酸球浸潤がみられ,一部に異物肉芽腫を認めた.皮疹の鱗屑の培養所見およびPCR-RFLP法(制限酵素切断片長多形法)にて,Trichophyton rubrumと同定.イトラコナゾール50mg/日(5mg/kg/日)1か月内服およびテルビナフィン3か月外用にて皮疹は治癒した.内服中に消化器症状や血液検査異常はみられず,外用に変更後も症状の悪化はみられなかった.小児に対してイトラコナゾールは比較的安全に使用できるものと思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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