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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻5号

2012年04月発行

特集 最近のトピックス2012 Clinical Dermatology 2012

1.最近話題の皮膚疾患

トリクロロエチレンによる過敏症症候群

著者: 深澤奈都子1 佐藤友隆1 渡辺秀晃2 上島通浩3 飯島正文2

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター皮膚科 2昭和大学皮膚科 3名古屋市立大学大学院医学研究科環境保健学分野

ページ範囲:P.12 - P.15

文献概要

要約 トリクロロエチレン(trichloroethylene:TCE)は金属加工部品などの脱脂洗浄溶剤等としての用途がある有機溶剤で,発癌性の問題から使用されなくなっていた.しかし代替品であるクロロフルオロカーボンなどによる地球のオゾン層破壊の問題から再度使用頻度が上昇している有機溶剤である.TCEによる肝機能障害を伴う,全身性の皮膚障害は使用頻度の高いアジア諸国で1990年代半ば以降に300例以上報告され,増加傾向にある.日本では1990年以降報告はなかったが,最近東京で2例の報告があった.この皮膚障害は臨床症状および経過,血液検査所見,ウイルスの再活性化を含めて薬剤過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)にきわめて類似しており,同じ病態と考えられつつある.TCEによる皮膚障害の発症に関しては,原因遺伝子としてHLA-B1301およびHLA-B44のアリルを有する人に高率に発症することが判明している.

参考文献

1) Huang H, et al:J Occup Health 48:417, 2006
2) Watanabe H, et al:Dermatology 221:17, 2010
3) Watanabe H:J Dermatol 38:229, 2011
4) 池岡俊幸:日内会誌 98:140, 2009
5) Li H, et al:Environ Health Perspect 115:1553, 2007
6) 池澤善郎:医学の歩み 238:761, 2011
7) 渡辺秀晃:Herpes Management 14:6, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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