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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻5号

2012年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2012 Clinical Dermatology 2012 2.皮膚疾患の病態

好酸球性膿疱性毛包炎―最近の病態研究

著者: 中東恭子1 椛島健治1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚生命科学講座

ページ範囲:P.44 - P.48

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要約 好酸球性膿疱性毛包炎(eosinophilic pustular folliculitis:EPF)は,毛囊一致性の掻痒性丘疹,無菌性膿疱が再燃寛解を繰り返す原因不明の慢性炎症疾患であり,病理組織学的に毛包脂腺系に多数の好酸球浸潤を伴う.今回われわれはシクロオキシゲナーゼ阻害薬であるインドメタシンがEPFに奏効することに着目し,アラキドン酸代謝物がEPF発症に関与するという仮説をもとに発症機序の解明を進めた.結果,EPF病変部において造血器型プロスタグランディンD合成酵素陽性の浸潤細胞が増えており,病変部においてプロスタグランディンD2(PGD2)の産生が増加していることが示唆された.また,ヒト不死化皮脂腺細胞株において,PGD2との共培養により好酸球遊走因子であるエオタキシン3の発現が増加することが明らかとなった.さらに,EPF病変部の皮脂腺においてエオタキシン3陽性の細胞が増加していることを確認した.以上の結果より,皮脂腺細胞からのPGD2産生により,エオタキシン3の産生が増加し,毛包脂腺系への好酸球浸潤を亢進することによりEPFの病態に関与していることが推測された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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