文献詳細
特集 最近のトピックス2012 Clinical Dermatology 2012
3.新しい検査法と診断法
文献概要
要約 白癬の診断に有用な研究用試薬として,糸状菌検出試験紙が開発され,2011年4月からインターネット販売されている.この製品は,白癬菌細胞壁に共通した糖鎖構造に特異的な抗体を用いたイムノクロマトグラフィーを原理とし,感受性は鋭敏であり,使用法は簡便で一般にも容易に使用できる.しかし,あくまで研究用試薬であり白癬の診断用具ではない.また,保険適用はなく1回分1,000円程度の経費が必要となる.本試験紙は,白癬を他疾患と鑑別する診断補助具としては有用であるが,治療の効果判定として使用すべきではなく,また採取検体量や判定時間などの使用方法を標準化しないと,微妙な結果に判定を迷う場合がある.その臨床使用については今後の症例の積み重ねと調整が必要であるが,画期的な白癬診断の補助具として皮膚科医は本試験紙について周知しておく必要があると考える.
参考文献
1) 石田久哉,他:日医真菌会誌 44(Suppl 1):98, 2003
2) 梶谷和生,他:日医真菌会誌 44(Suppl 1):98, 2003
3) 法木左近,他:日医真菌会誌 48(Suppl 1):85, 2007
4) 法木左近,他:日医真菌会誌 49(Suppl 1):97, 2008
5) 東 裕子,他:アレルギーの臨床 31:817, 2011
掲載誌情報