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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科66巻6号

2012年05月発行

今月の症例

ニューモシスチス肺炎およびサイトメガロウイルス肺炎を合併し死亡した薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 原田和俊1 渡辺一孝2 岡本崇1 宮島さゆり1 川村龍吉1 柴垣直孝1 久木山清貴2 島田眞路1

所属機関: 1山梨大学医学部皮膚科 2山梨大学医学部循環器・呼吸器内科

ページ範囲:P.384 - P.388

文献概要

要約 82歳,男性.カルバマゼピン内服開始後2か月,全身に紅斑が出現し薬剤性過敏症症候群と診断した.プレドニゾロン50mgの内服を開始したところ皮疹は速やかに消退した.高齢であったこと,糖尿病を合併していたこと,肝細胞癌の再発があったことから,プレドニゾロンを1週間に10mgずつ漸減し,5週間で中止した.プレドニゾロン減量中も皮疹の再燃や肝機能障害,腎機能障害などは認められなかった.しかし退院直後に発熱,呼吸困難が出現し,当院内科へ緊急入院となった.サイトメガロウイルス肺炎とニューモシスチス肺炎の合併と診断され,加療を行ったが,呼吸不全で死亡した.本患者は長期間のステロイド投与を躊躇する条件が多く,早めにステロイドの投与量を減量した.しかし,自験例におけるステロイドの急速な減量が,免疫再構築症候群を引き起こし,サイトメガロウイルス肺炎とニューモシスチス肺炎が発症した可能性が考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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